毛呂山事件

1981年8月16日/埼玉県入間郡毛呂山町箕和田
Minowada, Moroyamamachi, Irumagun, Saitamaken, Japan

概要

目撃現場のスケッチ(JSPS森本辰史氏画)
早朝、農業従事者のS氏が水田の上空に浮かぶ奇妙な形の物体に遭遇。
通りがかった人、息子夫婦ら5人が目撃する。

気付くと目の前の空に浮かぶUFO

矢追さんの取材に答えるS氏
8月16日(日)早朝5時55分ごろ、農家のS氏(55歳)は、草刈りをするために家のすぐ脇にある水田に向かった。
家を出てすぐ、北にある笹山上空を飛行するタイヤほどの大きさの物体に気付く。(矢追さんの取材では「小さな丸いお皿のようなもの」と証言)
S氏は子供が飛ばした風船か何かだろうと思い、たいして気にもとめず、水田に向かう。

水田に着いたS氏は、あぜ道に座って鎌を研ぎ始めた。周囲には誰もいない。
S氏が作業にかかるべく立ち上がったところ、道路をはさんだ前方の水田の真上10mほどの高さに、奇妙な物体が音もなく滞空しているのを目にする。
S氏が黒板に書いたUFOの絵
  • お椀を伏せたような半球型(蜂の巣型とも表現)
  • 直径4〜5メートル(2トントラックと同じくらいの大きなものと証言)
  • 約10mの高さに浮遊(電柱の変圧器と同じくらいの高さ)
  • 表面はいぶし銀のような色で光沢がなく、のっぺりしている
  • 音を出していない
  • 周囲に風も起こしていない
  • ゆっくりと時計回りに回転
  • 窓がある(矢追さんの取材には「窓はない」と証言)
  • 突起物や記号、印などは見られない
  • 下部の周縁部は赤とも青ともつかない奇妙な色合い(矢追さんの取材では色とりどりの光を放っていた)
  • 底の部分は平坦だが内側にやや窪み、黒に赤が混じったような色の整然とした網目模様
  • 網目の中は暗くて判別できず
S氏は驚きと恐怖のあまり、声も出せず、体も金縛りにあったように動けなくなった。

矢追さんの取材に答えるS氏。
「むこうに見える電柱の上に変圧器が乗っかってるでしょう。あれと同じ高さくれぇにいたんです。なにせ、2トン積みトラックくれえもある大きなもんが、頭の上へ覆いかぶさるようにしてくるくる回ってるんだから、誰が見てもそりゃもう恐ろしいですよ。私ゃもう、殺されっかもしんねえと思って、もしそいつが向かってきたら、鎌でぶっ叩こうと、ガタガタ震えながら鎌を構えてたくれえです。」
「ヘリコプターなら音がするし、風も吹き付けてくるはずだよね。それが音もしねえし、風もこねえだもの。気球とは全然違うし、ともかく、こりゃこの世のもんじゃねえ、恐ろしいもんだということしか頭になかったね。」
S氏は無我夢中の中、気が付くと道路をわたってUFOに近付いていた。
物体はさらに回転し、斜めに上昇し始めた。

第2、第3の目撃者

第2の目撃者U氏
その時、新聞配達員のU氏(51歳)が自転車で通りかかる。
U氏はS氏の門前ですでに、風船のような物体が屋根越しに飛んで行くのを目撃していたが、配達のためにそのまま進み、水田のS氏と出会った。
S氏に手招きされたU氏は、S氏の指差す先に、約50m上空に浮かぶそのUFOをともに目撃する。
見ている間にUFOは約80mにまで上昇し遠ざかった。

ここで近所の宝幸畜産のO氏も車で通りかかり、3人で遠ざかるUFOを見送った。

※宝幸畜産の読みは、並木伸一郎氏の本では「ほうこく」とルビが打たれているが、誤植かもしれない。現在も存在するのかどうかは確認できなかった。

長男夫婦も目撃

S氏の長男
最初の目撃から12〜3分たったと思われる頃だろうか、7時までに新聞を配らなければいけないU氏が自転車で走りだす。
目撃者が増えたことで気を取り戻したS氏も一人自宅に戻り、長男(28歳)とその妻に自分が見たものを知らせた。
長男が興奮して大声で怒鳴る父親を見ると、ガタガタ震えていたという。
慌てた二人が2階の窓から見てみると、もうかなり小さくはなっていたがたしかに円盤型の物体が、1kmほど先にある秩父山系の通称・桜山の方向へ、ヘリコプターよりやや速い速度で飛んで行た。
全体に銀色に光って飛んで行くのを見るのが精一杯で、UFOの周囲が光っているのはわからなかったという。
遠ざかるUFOは最後は色も黒っぽく見え、雲に入ったのか5〜6分で見えなくなった。

事件後、S氏の長男が知人に語ったことから、翌日17日の読売新聞、埼玉新聞朝刊で報じられることとなった。

S氏は目撃後、気持ちの悪いものを見た思いにとらわれ気分が悪くなり、その日は朝食も取らずに寝てしまった。
また何かのタタリを恐れ、家の裏庭に古くからあった氏神様を再建した。

現場周辺地図


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UFOが電柱の変圧器くらいの高さに浮かんでいたのがこのあたりの位置。

1985年当時の航空写真

地理 @ 沼津高専、Googleマップを使って過去の地形図や空中写真を見るより

検証

並木伸一郎氏の調査

UFO研究家並木伸一郎氏と、同氏の主宰するUFO研究会、JSPS(日本宇宙現象研究会)のスタッフが、8月30日にS氏とU氏にのもとを訪れ取材している。
S氏は「あなた達も見ればそう思うだろうけど、気持ちの悪いものだったよ、あれは。二度と見たくないね。」と語った。
S氏、U氏ともに、これまでUFOには関心がなく、目撃するまで一切信じていなかったという。

矢追さんの調査

UFOディレクター、日本テレビの矢追純一氏もこの事件を取材した。(未確認だが、深夜番組「11PM」などで放送されたらしい)
  • UFOを見ていた時、テレパシーのようなものや誰かが話しかけてくる感じとかなかったか?
    • ただ怖いというだけで、そういったことはなかった。
  • 何か目に見えない圧力や、UFOから何かエネルギーが飛んでくるようなものを感じなかったか?
    • 圧力というのはなかったが、何かに引き寄せられるような気はした。
S氏が無意識に道を越えてUFOに近付いた点、タタリを恐れたことなどを疑問視し、その後S氏に退行催眠を施している。
その結果、S氏はUFOの中に連れ込まれ、耳が犬のようで顔が骸骨のような小柄な生物に出会っていたという。しかしその手法には後述する問題点がある。

考察

新聞に載ったにもかかわらず、あまりUFO本で取り上げられることのない、埋もれた事件の一つだ。筆者も偶然古本で購入した「UFOと宇宙」誌の記事と、談話室で教えてもらうまでは知らなかった。
目撃だけで物証がなく、宇宙人も出てこない地味といえば地味な事件なので、他の事件に隠れて扱われないのかもしれない。

半球の蜂の巣型の飛行物体が何なのか。
目撃者達は嘘をついている印象は受けないが、甲府事件もそうだが目の前で見たこととはいえ、どこまで証言どおり信用していいんだろうか。
一人なら、嘘、幻覚、ヘリコプターなどの見間違いという面も疑いやすいが、3人〜5人の大人が見ているとなると、簡単にそういったものとして片付けられない。
少なくとも、何かが浮遊しているのを見たことは確かなのではないかという印象は受ける。

当時はうちの田舎(栃木県)では、早朝にヘリコプターで農薬を撒いていることがよくあった。しかしいくらなんでもヘリコプターを半球型のものに見間違えるとは考えにくい。音や風もないというし。
メタリックな素材で作られた風船、気球などを、どっかの物好きが飛ばしていたという線が一番疑わしいが、そういうものが市販されていたか、付近に自作して楽しむ人がいなかったかということを確かめないと、推測の域を出るものではない。
そういったものを飛ばすのなら、騒がれにくい早朝というのは理解しやすい。しかしヒモかラジコンでも付いていない限り行き先の制御ができない。
秩父の山の方角(北北西だろうか)に飛んでいったということで、より多くの目撃者を求めることは困難かもしれない。

UFOの正体が何だったにせよ、驚かされてしまったS氏他の目撃者達は気の毒である。

矢追さんの取材について

矢追さんがテレパシーやエネルギーについて質問しているのは、ともすれば偽記憶を作る誘導尋問的にも思える。(本人に悪意がなくても)
退行催眠(逆行催眠)も当時はともかく現在では、実際は体験していなかった偽の記憶を作ってしまう可能性が指摘されている、問題のある方法だ。
S氏が退行催眠を受けた下りは手持ちの「UFOと宇宙」誌で「つづく」となってちゃんと読めなかった。
矢追さんのFacebookで何回かに分けて連載されているようなのだが、Facebookの使い方がよくわからず、2回分しか読めなかった。
並木氏の本ではこの点は一切触れられていない。

矢追さんが道路を無意識に渡ったことを重要視しているが、よほどのことがなければ人が道路を渡るのは無意識だ。まして奇妙な物体を目にして気が動転している時であればなおさらだ。
怖いのに近付いてしまうという心理も、怖いだけに確かめて安心したい気持ちの現われとも考えられる。
UFOに一時的に拉致され記憶を消されて戻されたというのも、数分間の間にU氏、O氏が来ているのだから時間的におかしく、話の飛躍だと思う。

参考資料

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