2017年11月12日日曜日

トレント夫妻のUFO写真

1950年5月11日/アメリカ/オレゴン州マクミンビル
McMinnville, Oregon, USA

詳細

1枚目の写真
左側の建物はガレージだ
その日の夕方(5月11日の7時30分だという資料と、6月10日7時45分だという資料があった)、イブリン・トレント夫人(Evelyn Trent)が農場で飼っているウサギにエサをあげているとき、上空にUFOが出現。気付いた夫人は夫のポール(Paul Trent)を呼び、夫人がほぼ同じ位置から2枚の写真を撮った。

写真はその後30年以上にわたって議論を呼ぶことになる。
2枚目の写真
物体はやや斜めに傾いた格好でこちらに向かって飛んできており、「ヒモがないパラシュートのようで、とても明るく銀と青銅を混ぜたような輝き」をしており、音や煙は出していたなかったという。
UFOは北東から北西の空にすべるように飛び去った。
夫妻はこの写真を重要視せず、数日後にフィルムの残りを撮り終えてから現像に出した。その後も気に留めていなかった。
目撃者イブリン・トレント
目撃者ポール・トレント
夫妻の写真はかなり後年のもので、もう二人とも他界している。
1枚目の写真のUFOの拡大

事件を報じた当時の新聞
偶然、地元新聞テレフォン・レジスター(Telephone-Register)がこの写真の話を聞きつけ、6月9日の一面で報じられると、「LIFE」誌(1950年6月26日)の特集記事になるほどの騒ぎになった。(LIFE誌はオリジナルのネガを紛失してしまい、ネガの確認が行われたのは17年後に再発見されてからだという)

コンドン委員会の見解

空軍の懐疑的なコンドン報告書(1967年)の中でも否定されなかった唯一の写真であった。
委員会の調査員ウィリアム・K・ハートマンは、「写真と現場を調べた結果のあらゆる要素が、『明らかに人工物と思われる直径数十mの銀色の金属製の円盤型以上飛行物体が二人の人間に目撃された』という主張と符合する」との見解であった。
UFO像のくもり具合から、約1.3kmの距離にあると結論した。
コンドン委員会のあるメンバーによれば、「トリックの可能性を積極的に否定するものではないが、信憑性を十分に評価できるものであった。」という。
2枚目の写真のUFOの拡大
かなりゴミや指紋が多い写真だ。UFO研究団体GSWではこの写真をコンピュータによる画像分析にかけた。その結果、写真上からはUFOを吊っている糸や針金らしきものは検出されなかった。
GSWのひとつの結論として、UFOは直径20〜30m、おそらく磨いた金属でできたものであるという。

今でもマクミンビルでは、毎年「UFOフェスティバル」が開かれているという。

現場周辺地図

より大きな地図でUFO事件マップを表示
以下のYouTube動画を参考にしたので、マーカーの位置は、かなり正確と思われる。

研究家達の意見

懐疑的な分析者のロバート・シェイファーの見解

UFO像のくもりはレンズに付いたグリースかも知れず、UFOが至近距離で撮影された可能性がある。
写真のガレージのひさしの影から、撮影されたのがトレント夫妻の主張する夕方ではなく、朝である。

強硬な懐疑論者であるフィリップ・J・クラスの見解

夫妻が撮影時刻を偽証したのは、朝の場合、他の農夫達が外に出ているはずなのに夫妻以外にUFOが目撃されていない点を、怪しまれないようにするためだ。
2枚の写真のUFOの傾きが違っている点も、カメラの近くに吊るした模型であれば説明が付く。
トレント夫妻が嘘発見機の検査を嫌がった点も指摘した。

UFO研究家で物理学者のブルース・マッカビーの見解

ガレージの影がおかしいのは夕陽を浴びた雲の反射光によるものだろう。
レンズにグリーズが付いていても、UFOとの距離は1km以上あるはずだ。
夫妻のインタビュー時の態度は常に実直であった。
ジョエル・カーペンター(Joel Carpenter)という研究者が調べたところ、トラックのサイドミラーを吊るしたものではないかという説もあるようだ。(要詳細確認)
筆者はサイドミラーにしては大きいような気もするが…?

考察

吊っている糸がコンピュータ画像分析では確認されなかったが、当時の未発達なコンピュータ画像解析技術で、どれだけ細い糸まで確認ができるのだろう?
手品用の特に細い糸などでなくても、背景の明るさにまぎれて糸が見えなくなることは考えられる。

撮影時刻はいつか?

資料によって日付や時間が違うのは要確認だ。
撮影時刻とされる7時30分過ぎが夕方と表現されているのが気になったので、天文ソフトで再現してみたところ、日没後15分程度であった。よって、まだ西の空を中心に薄明るい時間だったようだ。
しかし薄明るいだけで日没後には変わりなく、当時の低感度なフィルムで飛行物体を静止して写すのは難しいと思われる。
少しくらい薄暗くても、三脚を使ってスローシャッターを切り、しかもUFOが滞空しているか極端に遅い速度で飛んでいたならこのように明るく写すことも可能だが、急いでカメラを持ちだしてきたのに三脚まで持ってくる余裕はなかったろう。
この写真はもっと明るい時間に撮られたと考えるほうが自然だと思う。やはり朝の撮影ではないか? なぜ時間を偽証したのかは疑問だ。単なる勘違いか?

トリック写真だとすると、電線から吊るされていることを第一に疑うわけだが、重い物がぶらさがっているようなたわみは見て取れない。(軽い模型ならまた別だが)
電線の高さはどれ位だろう。模型の糸をどうやって結びつけているんだろう。
電線でなければ、釣り竿のようなもので画面外から吊っているんだろうか。
2枚の写真で撮影している位置が若干違う。2枚目はもっと右手前から写している。電線から吊っているなら、UFOの位置は動いていないことも考えられる。

参考資料


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