2018年1月19日金曜日

宇宙のスケール2 天体の世界から

宇宙の大きさを知る

科学のとっかかりとして物質をミクロレベルから見ていく続き。

太陽と惑星の大きさ比べ

地球を飛び出て、いよいよ宇宙の大きさ、広がりについて紹介しよう。

見てのとおり、太陽と他の惑星を比べただけでも圧倒的に大きさに違いがある。太陽系で一番大きな惑星の木星と比較してもこれだけ違うのだから、地球などは太陽にとってはまさにケシ粒のような存在なのだ。

太陽系の惑星間の広がり



次に太陽系の惑星間の広がりを見てみよう。
クリックするとやたら横に長い画像が出てくるが、太陽系の惑星間だけでもこれだけの距離が離れているのだ。
太陽から海王星までの平均距離を光年(光が1年間に進む距離、約9兆4,600億km)で表すと、 約0.000476光年となる。海王星程度の距離では1光年にはるかに満たないのだ。これだけを見てもいかに他の天体までの距離が離れているかがわかるであろう。

太陽系外縁天体とオールトの雲


海王星までが太陽系の果てではなく、さらにその先にも太陽の引力に支配された太陽系は広がっている。
数年前まで惑星に数えられていた冥王星(現在は準惑星)をはじめとした、エッジワース・カイパー・ベルト天体もしくは太陽系外縁天体(英語だと海王星外縁天体(Trans-Neputunian Object)を略してTNO)と呼ばれる小天体が、近年の観測によって600以上も発見されている。
そのうちのセドナという星は、太陽からの距離が約76〜900AU(=天文単位:太陽〜地球間の平均距離が1天文単位である)という極端な楕円軌道を、約1万年かけて公転している。(その後、セドナよりも遠日点が遠い小惑星も発見されている)

太陽系は天の川銀河の中を秒速220kmの速さで2億年かけて公転している。
太陽から放出された太陽風と公転方向の外宇宙からのやってくる銀河放射線が衝突して一種の壁のようになり、内側に電波を発しているヘリオポーズという領域が、ボイジャー探査機によって発見されている。
ヘリオポーズは50〜160天文単位にあると想像され、太陽活動の変化によってその範囲内で位置が変化していると考えられる。
ヘリオポーズの中は有害な銀河放射線から守られており、ここを太陽圏(ヘリオスフィア)と呼ぶ。
さらにその外側には太陽系外縁天体からゆるやかに続く、オールトの雲または彗星の巣とも呼ばれる、原始太陽系の状態をとどめた無数の小天体が球状に広がっていると考えられており、そこまでの距離は1万〜10万AUであるとされている。その10万AUでようやく1.58光年となる。
いかに太陽系だけでも途方もなく広いかがわかろう。

太陽系近傍天体


太陽系の外には天の川銀河の星々が存在している。
上の図は太陽系近傍の恒星を一直線上に並べてみたものだ。当然各恒星どうしの実際の位置関係は正しくないので注意して欲しい。
一番近いケンタウルス座のプロキシマまでで4.2光年もある。オールトの雲のさらに2.7倍近い距離だ。
14.5光年の位置にはウンモ星人の故郷、IUMMA(イウンマ)恒星系があると言うが、さあどうだろう?

星座を構成する星々


その先のスケールになると、星座を構成するような有名な恒星が存在する。まだまだ天の川銀河の中である。
それぞれの恒星までの距離は、数十〜遠くても2,500光年程度までのものがほとんどだ。星雲や星団と違い、単体の恒星ではあまり遠くなると暗くなって肉眼で見えないのだ。
かに星雲(M1、距離7,200光年)、オリオン座大星雲(M42、距離1,300光年)やプレアデス星団(すばる/M45、距離410光年)、M78星雲(ウルトラマンでおなじみ、距離1,600光年)などのように、星雲や星団も天の川銀河内に数多く存在している。

天の川銀河想像図


さらにもっとスケールを広げて銀河を見てみよう。
様々な天体が引力によって集まっているのが銀河だ。
我々の住む天の川銀河を上から見ると、このような形になっているのではないかと想像されている。中心部の星の集まり(バルジ)が棒状になっている棒渦巻き銀河だ。中心は地球から見ていて座の方向にある。
便宜上太陽を赤い丸で示したが、実際は画面上の1ピクセルにもはるかに及ばない小ささであることは言うまでもない。
人類が宇宙に飛ばした最遠の探査機(ボイジャー1号、2号)でもまだ太陽系さえ出ていないので、銀河の形を遠く離れた位置から俯瞰したわけではない。あくまでもこれまでの観測結果から得られた想像図となる。

天の川銀河は直径約10万光年、太陽系は天の川銀河の中心から約2万6,000光年離れていると考えられている。
距離についてもまだまだ不完全な測定方法によるため、現代においても数値が正しいのかどうかの確証は得られていない。
はなはだたよりないと思ってしまうが、その一歩一歩の積み重ねが科学の進歩の歴史なのだ。

多くの場合、銀河の中心には大質量のブラックホールがあるとされている。ただし、銀河はブラックホールの引力によってまとまっているわけではない。
銀河を構成する星々の引力だけでは銀河は集まりきれないことがわかってきて、より重力が強い未知の物質であるダークマター(暗黒物質)が存在するのではないかと考えられている。

局部銀河群



天の川銀河を飛び出すと、周辺にいくつもの矮小銀河が伴銀河として存在している。そしてさらにスケールを広げると、大小さまざまな銀河が群れをなしている。これを局部銀河群と呼び、アンドロメダ銀河もこの一員だ。

16万光年離れた場所に、クラリオン星のあるわし座の第3銀河なるものがあるというが、もちろんそんなものは見つかっていない。
ただし、近くの伴銀河でも最近まで見つからなかったものがあることも確かである。たとえば最も近いおおいぬ座矮小銀河が発見されたのは2003年のことだ。
今後ももしかすると淡かったり、天の川銀河の星間ガスの反対側にあるために目で見えないような銀河が発見されるかも知れない。

宇宙の大規模構造

銀河は、銀河団という数十個から数千個の銀河が互いの重力でまとまった集団に属し(小規模の銀河団を銀河群と呼ぶ)、さらに銀河団どうしもさらに大規模な超銀河団の一部となっている。
超銀河団は泡の膜のような配置に存在しており、泡の中にあたる部分は銀河の存在しない空間で、ボイド(void)と呼ばれている。
これら泡のような宇宙の構造を、宇宙の大規模構造と呼ぶ。

この計り知れない星、銀河の集まりが、無限に広がっていると考えられているのが我々の宇宙だ。観測できる限りでも135億光年はあることになる。
135億光年というと、13,500,000,000光年だ。探査機が到達するまでに何十年もかかる海王星までが、1光年にさえはるかに満たない0.000476光年であることを考えると、宇宙の神がかり的な広さが実感できよう。

宇宙

我々が住む宇宙は、ビッグバン以来膨張を続け、膨張速度も加速していることが観測からわかってきている。この膨張を加速させているのは未知のダークエネルギー(暗黒のエネルギー)ではないかと考えられている。
宇宙の膨張が進んだ結果、銀河団どうしが離れ離れになり、遠い未来には、銀河団ごとに孤立した宇宙になり、さらに遠い未来には銀河団の内部で銀河どうしが引き合い、巨大なブラックホールを形成し、そのブラックホールさえもゆっくりと蒸発して漆黒の宇宙になってしまうと考えられている。
宇宙は中心も果てもない、三次元的には無間に広がった構造だと考えられている。縦・横・高さ以外の人間が感知できない空間要素を持つ、もっと高次元の宇宙の中に存在しているのではないかという考えもある。
(これはオカルトさん達が言うところの高次元とか次元上昇などというものとは関係ないので気をつけること)
現在の宇宙は誕生と終焉を何度か迎えたもので、遠い未来には再び終焉を迎え、また新たに誕生するのではないかというサイクリック宇宙論という仮説もある。
我々の住む宇宙とは別な宇宙が、実は並行にいくつも存在しているという仮説もある。一つの宇宙という意味のユニバースに対して、複数の宇宙という意味のマルチバースと呼ばれている。並行に存在していると言っても、同じ人間が違う世界に暮らしているといったパラレルワールドとは違うものだ。

参考資料

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